2018.09.05

家屋の相続税評価

category

財産の評価

建物及び附属設備、構築物

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①相続税又は贈与税の財産評価上の家屋
財産評価上の家屋とは、固定資産税の取扱の家屋と同じと取り扱われるため、基本的に建物登記簿に登記されるべき建物を言います。

②家屋の評価方法
財産評価上の家屋の定義は以上の通りシンプルですが、実際の評価額も固定資産税評価額に1.0倍を乗じて計算する、シンプルなものとなっています。

ただし、これはその家屋の利用に一切の制限がない場合の自用家屋の評価額ですので、他人に賃貸している等で自己の利用に一定の制約が課される場合は、一部評価が減額されます。

③他人に賃貸している家屋の評価
他人に有償で賃貸している家屋は、自用家屋の評価額から借家権割合を控除して評価します。
借家権割合は30%です。

ただし、貸アパートで空室がある場合は、空室期間等で借家権割合を控除できるかどうか決まります。

④一時的に空室が生じている場合の賃貸家屋の評価
貸家の家屋の評価額は、上記の通り、自用家屋の評価額から借家権割合を控除して評価します。
借家権割合を控除する趣旨は、賃貸人は、借地借家法第28条の規定により賃借人に対し建物賃貸借契約の更新拒絶や解約申入れができず、また、借家権を消滅させるために立ち退き料が必要になる等、家屋の利用に制約が課されていることによります。

この考え方からすると、貸アパートで一時的でも空室が生じると借家権割合を控除できないことになりますが、税務上の取扱は、以下のように弾力的に取り扱うことが認められます(タックスアンサーNO4614)。

(1)各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること。
(2)賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと。
(3)空室の期間が、課税時期の前後の例えば1か月程度であるなど、一時的な期間であること。
(4)課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと。

このような取扱ですが、(3)の「一時的」の解釈に関し、平成27年11月に国税不服審判所で裁決が下され、そこでは空室期間が最も短いもので約3ヶ月から最も長いもので約1年10ヶ月となっていますが、これらの期間では「一時的に賃貸されていなかった」と認められないと判断されました。

1年10ヶ月の空室期間は募集広告を継続的に行っていたとしても長い空室期間だとは思いますが、3ヶ月程度の空室期間でも「一時的に賃貸されていなかった」と認められないことは納税者にとって酷な判断だと思います。

ただ、今後の相続税実務ではこの裁決が一つの重要な判断になりますので、貸アパートの評価では、レントロール等で空室期間を厳密に確認し、借家権を控除できるのか慎重に判断する必要があります。

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