2018.10.10
不動産オーナー型資産家の相続対策-2
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生前相続対策
資産家の属性別財産の承継
①収益物件の贈与
収益物件を多数保有する資産家の場合、毎年の賃料収入でさらに相続財産が増加していきます。
従って、そのような収益物件は生前に息子等に贈与しておくことが有効です。
贈与を行うことで、被相続人の財産の増加の抑制効果を期待できますし、被相続人の所得税率が受贈者の所得税率よりも高率の場合は、親子単位で考えた所得税や住民税負担を緩和することも可能になります。
贈与を行う場合は、贈与税の基礎控除が110万円しかないことを考慮し、相続時精算課税制度を利用して贈与税の申告を検討することも必要ですし、不動産取得税と登録免許税が相続による取得よりも高率であることから、これらの比較検討を行い、メリットが大きいと判断できる場合に実行すべき対策になります。
②収益物件を贈与する際の注意点
収益物件を贈与する際の注意点として、入居者からの預かり資金等の債務に相当する現金を収益物件を贈与する際に同時に贈与することが挙げられます。
これは、贈与者が入居者から預かっている預かり敷金等の債務に相当する額を受贈者に贈与しない場合は、預り敷金等の返還債務を受贈者に負わせる、すなわち負担付贈与に該当すると認定されるためです。
負担付贈与に該当すると、贈与財産の評価額は相続税評価額ではなく通常の取引価額(時価)で評価する必要があり、相当多額の贈与税になる恐れがありますので、収益物件を贈与する際は十分な注意が必要です。