2018.11.26

未分割として申告した財産に関し遺産分割協議が確定した場合

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相続税

相続税の申告手続

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①遺産分割が未分割の場合の相続税の期限内申告

相続税の申告は相続が開始してから10ヶ月以内に申告する必要があります。

その時に、各納税者の納税額は、被相続人の遺産総額に対する相続税の総額に対し、遺産分割協議や遺言書で取得した遺産の割合に応じて計算します。

申告期限内に遺産分割協議が調っていない時は、各納税者は法定相続分に応じて取得したものとみなして納税額を計算しますので、遺産分割協議が調っていないから申告できないというのは理由にはなりません。

未分割状態で申告する場合、被相続人の遺産を納税資金に充てることができない事態も想定されますので、その時は各納税者の固有財産から納税する必要が出てきます。

②申告後に遺産分割協議が確定した場合

一度未分割状態で申告した後に遺産分割協議が調った場合は、分割確定後に修正申告、期限後申告、更正の請求を行うことができます。
これら3つのすべての手続きが法令上「できる」規定となっているのは、どのような遺産分割協議を行っても被相続人の遺産総額に変動はないので、相続税の総額は変わらないという計算構造になっているためです。

ただし、遺産分割協議の確定前後で相続税の総額が変わらない場合でも一人の納税者が更正の請求を行うと、他の納税者は修正申告を求められますので、注意が必要です。

③遺産分割協議が確定することで適用できる特例規定

当初未分割申告のため適用できなかった規定が、遺産分割協議が確定することで適用できるようになり、相続税の総額や納税額が減少する規定もあります。

代表的なものとして、小規模宅地の特例と配偶者の税額軽減が挙げられます。

小規模宅地の特例が適用できるようになると、相続税の総額が減少しますので、通常は全員更正の請求が可能になります。

一方で配偶者の税額軽減のみが適用できるようになった場合は、配偶者は更正の請求が、他の納税者は期限後申告、修正申告、更正の請求のいずれかが可能となります。

④当初申告段階で提出する必要がある書類

これらの特例を申告後に適用するには、当初申告する段階で「申告期限後3年以内の分割見込書 」を申告書に添付して提出しておく必要があります。

この分割見込書には「分割されていない理由 」や「分割の見込みの詳細 」を記入する欄がありますが、それほど神経質になる必要はないかと思われます。

この3年以内に遺産分割協議が整わなかった場合は、さらに延長する手続きも設けられています(「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」)

この手続は、遺産分割協議が確定しない理由として、裁判で係争中になっている等の理由が必要になりますので、ただ相続人間が不仲で遺産分割協議が成立しないという理由は認められません

なお、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」の提出期限は申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日となっています。

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