2018.08.31

贈与税の申告内容の開示請求(相続税法第49条開示請求)

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相続税

相続税の計算

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①贈与税の申告内容の開示請求

相続税は被相続人が亡くなった際に所有していた財産のほか、みなし相続財産や相続開始前3年以内に相続人が被相続人から贈与してもらった財産、相続時精算課税制度適用財産も相続税の課税対象になります。

みなし相続財産は支払通知等で申告財産計上額を確認できますが、相続に関し争いが生じている等の理由で他の相続人の過去の贈与内容がわからない場合は、税務署に対し贈与税の申告内容の開示請求を行うことで相続税の申告に必要な贈与税申告状況を確認できます。

逆の見方をすると、相続税の申告の対象となる過去の贈与税申告内容を確認せずに申告してしまうと、相続財産の計上漏れになる可能性があり、修正申告の対象になりますので、この手続は相続税の申告実務を行うものとして必ず行うべき手続きといえます。

②開示請求の方法

開示請求の提出先は被相続人の住所地の所轄税務署で、相続税の申告書の提出先と同じです。

税理士が代理人として請求することも可能ですが、その場合、税務署に直接開示結果を取りにいく必要があるため、弊社が遠方の税務署に対し開示請求を行う場合は、書類を事務所で作成し、相続人のご自宅に開示結果が届くように手続きを行っています。

開示方法は一人の相続人が他の共同相続人の贈与税の申告内容を開示請求する方法で行われますが、回答は請求者以外の共同相続人の贈与内容が生前贈与加算分と相続時精算課税適用額分に分かれ、請求者以外の共同相続人の受贈財産の合計額は◯◯円という形式で回答されます。

すなわち、Aという相続人が共同相続人であるB,Cの贈与税の開示請求を行うと、B,Cの受贈財産の合計額しか回答されませんので、個別の受贈財産を知る必要があるときは、BもA,Cの贈与税の開示請求を、CもA,Bの贈与税の開示請求を行う必要があり、それぞれの回答結果を組み合わせることで、各共同相続人の贈与税の申告状況を把握することができます。

開示結果

③相続税申告の際の留意点

相続税の申告実務でよく遭遇する納税者の方の誤りとして、相続時精算課税制度を適用して贈与税を申告し、贈与税がゼロだったから相続税でも申告しないと勘違いされる方が多くみられます。

贈与税の開示請求の結果、相続時精算課税制度適用財産が判明したため、相続時精算課税制度適用者に内容を確認すると、「贈与と相続は別物で、課税関係が終了しているため今まで税理士に言っていなかった」と話される方が多くおられます。

相続時精算課税制度は別の稿で解説しておりますが、相続時精算課税制度適用財産は贈与税額の有無に関わらずすべて相続財産に算入する必要がありますので、相続時精算課税制度適用財産の計上漏れにならないように注意が必要です。

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