2018.10.19
相続税の贈与税額控除と贈与税の還付
category
相続税
相続税の計算

①贈与財産の相続財産への生前贈与加算と贈与税額控除
相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続開始前3年以内に被相続人から贈与により財産を取得していた場合は、その財産は相続財産に加算(ただし、贈与税の配偶者控除の対象とされる財産や、住宅取得資金の贈与等で贈与税の非課税の適用を受ける財産は加算されません)されますが、その生前贈与財産に対し贈与税を納付していた場合は、その贈与税はその者に課される相続税額から控除できます。
ただし、控除できる金額は相続税額が限度とされ、控除できない贈与税額は還付されません。
また、生前贈与加算の対象となる年に被相続人以外からも贈与により財産を取得している場合の贈与税額控除の計算は一定の調整がなされます。
②贈与税の還付
上記の通り、生前贈与加算に係る贈与税額控除は、生前贈与加算の規定により相続財産に加算される相続開始前3年以内の贈与財産に係る贈与税を受贈者である相続人の算出相続税額から控除するという規定です。
一方で、相続時精算課税制度に係る贈与税額控除は、受贈者である相続人が、過去に相続時精算課税制度を適用して贈与税を申告し、贈与税額を納付していた際に、その贈与税額は算出相続税額から控除できるという規定で、両規定は非常によく似た規定となっています。
どちらの規定も贈与税額を算出相続税額から控除した結果、控除額が相続税額よりも過大になることがあります。
この場合に贈与税が還付されるのは後者の相続時精算課税制度に係る贈与税額控除のみです。
これは、相続時精算課税制度の趣旨が相続税と贈与税の一体化であり、相続時精算課税制度に係る贈与税は相続税の前払いであるので、前払い税金が多すぎた場合は、その税金は還付しますという制度趣旨があるためです。
一方で、生前贈与加算の対象となる贈与税の納付はあくまで贈与税の納付であり、相続税の前払いという意味合いではないため、控除額が過大であっても、その分は還付しませんという趣旨となっています。