2018.11.27

未成年者への贈与

category

贈与税

贈与税の計算

写真

①未成年者への贈与

実務上、お客様から未成年者への贈与が可能かどうかという点につき質問を受けることが多いので、この件に関する国税不服審判所の判断を紹介します。
この事例は、被相続人から未成年者へ贈与した株式につき贈与契約書を作成していない一方で贈与税の申告納税はしていたものが相続財産に該当する(=贈与が成立していない)のか国税不服審判所で争われた事例です。

②贈与の事実

納税者の主張としては、贈与の事実として当事者同士で口頭の契約が締結された上、贈与税の申告納税もしている以上、贈与は成立しており、贈与の対象財産である株式は相続財産に該当しないというものでした。
一方で、国税不服審判所の判断は、「贈与税の申告は、贈与税額を具体的に確定させる効力は有するものの、それをもって必ずしも申告の前提となる課税要件の充足(贈与事実の存否)までも明らかにするものではなく、贈与事実の存否は、飽くまでも具体的な事実関係を総合勘案して判断すべきと解するのが相当である。」というものでした。
本件では、被相続人が、受贈者が株主であることを客観的に証明できる特段の行動をとっているわけではないと国税不服審判所に認定され、株式の贈与が否認され、相続財産と認定されましたが、未成年者への贈与自体は有効である旨の判断が示されています。

③未成年者への贈与

国税不服審判所は「贈与契約は諾成契約であり、贈与者と受贈者において贈与する意思と受贈する意思の合致が必要となる(民法549条)が、親権者から未成年の子に対して贈与する場合には、利益相反行為に該当しないことから親権者が受諾すれば契約は成立し、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず、贈与契約は成立すると解される。」と判断しました。

本件で贈与が否認されたのは贈与が有効に成立していないためでしたが、贈与の事実が存在すれば未成年者への贈与は有効ですので、未成年者へ贈与する場合は、贈与の事実を客観的に立証するためにも、贈与契約書を作成し、受贈者には法定代理人(親権者)が必ず必要になります。その上、贈与日時を明らかにするためにも贈与契約書には公証人役場で確定日付の押印を取得すると尚良いと考えられます。

閉じる
無料相談・見積り依頼 MAIL FORM無料相談
トライアングル

無料相談のお申込み
その他相談・見積り依頼等
随時お受けしております

相続を始めとした財産の承継に関する
お悩みごとやご相談、
どんな小さなことでもかまいません。
メールフォームよりお気軽にご連絡ください。