2020.07.03
相続時精算課税制度の概要
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贈与税
相続時精算課税制度
①相続時精算課税制度の概要
相続時精算課税制度は、高齢世代が有する資産を生前の早い時点で子や孫の次世代に移転することで経済を活性化させる目的で制定され、平成16年1月1日から適用が開始されました。
当初は65歳以上の親から20歳以上の直系卑属である推定相続人への贈与が対象でしたが、平成27年1月1日からは60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子である推定相続人又は孫へ適用範囲が広がりました。
受贈者は贈与者毎に相続時精算課税を適用して贈与税を申告するかどうか選択できます。
相続時精算課税制度の内容は相続税と贈与税の一本化で、相続時精算課税制度を適用して納税した贈与税は相続税の前払いという性格を持っており、納税する税目は贈与税ですが、実質は相続税の前払い納税と同義です。
贈与する財産や適用回数に制限はありません。
②相続時精算課税制度を選択適用している場合の相続税の計算方法
贈与により取得した財産は、贈与者が死亡した時に贈与時の価額で相続したとみなして相続税の課税価格に算入し、相続税を計算します。
贈与時に納税していた贈与税は算出相続税額から控除して相続税の納税額が計算され、算出相続税額よりも贈与税額の方が多ければ、その多い分は還付されます。
この制度を一度適用すると、同じ贈与者からの贈与には暦年課税制度での贈与税申告はできなくなりますので、相続時精算課税制度を適用する際には判断を相当慎重に行う必要があります。
これらの制度趣旨を鑑みますと、相続時精算課税制度は決して相続税の負担を緩和するためのものではないと言えます。
③相続時精算課税制度を選択する場合の贈与税の計算方法
相続時精算課税制度を選択して贈与税を計算する場合は、相続時精算課税制度を選択する贈与者毎に、贈与税の申告の都度、以下の算式で贈与税を計算します。
(贈与財産の価額の合計-特別控除(※))×20%=その年の贈与税額
※特別控除は贈与者毎に2,500万円与えられ、贈与の度に2,500万円の枠が減少していき、選択開始からの贈与財産の価額の合計額が2,500万円を超えると、税率を一律20%とする贈与税が生じます。
④贈与税の確定申告
相続時精算課税制度を選択しようとする受贈者は相続時精算課税制度を選択しようとする最初の年の翌年2月1日から3月15日までの間に受贈者と贈与者の間柄を証する書類(一般的には受贈者の戸籍謄本)等を添えて納税地の所轄税務署に贈与税の確定申告書を提出する必要があります。