2018.12.12
遺産分割協議のやり直しと相続税
category
相続税
①遺産分割協議のやり直し
遺産分割協議も契約行為であるため、民法の規定に基づき無効や取り消し等になることもありえます。
例えば、遺産分割協議に当事者でない者が加わっていたり、そもそも被相続人の遺産分割協議の対象とならない財産を遺産分割協議の対象にしてしまうような遺産分割協議は当然無効になります。
このように、遺産分割協議は民法上の契約行為であるため、契約自由を基本とする民法では、当事者の同意が得られれば、協議内容を解除したり再度契約をやり直すことも可能です。
②遺産分割協議のやり直しと相続税の関係
上記に記載の通り、民法上は遺産分割協議のやり直しは相続人の合意が得られれば可能ですが、相続税は遺産分割協議の内容により各相続人の納税額が変動するため、遺産分割協議の再分割を際限なく容認してしまうと、租税債権の確定が困難になってしまいます。
したがって、相続税法では遺産分割協議のやり直しにより取得した財産は分割により取得した財産とは取り扱わず、当初遺産分割協議により取得した者から再協議により新たに取得した者が贈与により取得したものとして整備されています。実務においても、お客様には上記の内容を説明し、遺産分割協議は一回きりの機会である旨をご理解いただくようにしています。
(以下、相続税基本通達19の2-8「分割の意義」から一部抜粋)
当初の分割により共同相続人又は包括受遺者に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、法19条の2第2項(配偶者に対する相続税額の軽減)に規定する分割により取得したものとはならないのであるから留意する。