2018.10.15

相続税の申告期限までに遺産分割協議が未確定の場合

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相続税

相続税の計算

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①遺産分割協議と相続税の申告期限の関係

相続が開始した場合、被相続人が遺言書を遺されている場合は遺言に基づき財産の承継が行われますが、遺言書が遺されていないときは、相続人全員で財産をどのように分割するか協議を行う必要があります。

この遺産分割協議ですが、期限の定めはありません。

遺産分割協議には期限の定めはありませんが、相続税の申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内が申告期限となっています。

相続税の納税額は、被相続人が遺した遺産と各相続人が相続した財産の割合に応じて計算しますので、遺産分割協議が未確定の場合は被相続人の遺産に基づく相続税の総額は計算できますが、各相続人の納税額は計算できません。

この場合、各相続人は民法上の法定相続割合に応じて財産を相続したものとして相続税を計算し、納税する必要があります。

②遺産分割協議が未確定の場合のデメリット

相続税の申告期限内に遺産分割協議が成立しなかった場合は、いくつかのデメリットがありますが、実務上よく見るものとして「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地の特例」が挙げられます。

前者は配偶者が相続した財産に関しては、法定相続分又は1億6千万円までは課税しないという相続税の特例、後者は被相続人が遺した土地で一定の要件を満たすものに関しては、評価減できるという特例になります。

これらの適用に関しては相続税の申告期限内に遺産分割協議が未確定の場合には適用ができませんので、相続税の納税額が大きくなります。

ただし、相続税の申告期限内から3年以内に遺産分割協議が確定すると、更正の請求をすることで特例が適用できることになりますが、当初申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておく必要があります。この見込み書には申告期限内に分割できない理由と分割の見込みの詳細を記入する箇所がありますが、今までの申告実績の中でここの記入内容で指摘を受けたことはありませんので、それほど神経質になる必要はないのではないかと思われます。

この分割見込書を提出しておいた上で、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割協議が確定すると、その確定から4ヶ月以内に更正の請求をすることで納めすぎた相続税が還付されます。

3年以内にも分割が調わなかった時は、「遺産が未分割であることについてやむを得ない理由がある旨の承認申請書」を相続税の法定申告期限から3年を経過する日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

当初の分割見込み書はあくまで見込書であり、提出するだけで構いませんが、次に提出するものは「承認申請書」であり、分割できない理由に関し税務署長の承認が必要になり、ハードルが上がります。

また、この「遺産が未分割であることについてやむを得ない理由がある旨の承認申請書」の提出に関しては、未提出に関する宥恕規定の救済が設けられていませんので、注意が必要です。

「やむを得ない理由」ですが、例示として「相続又は遺贈に関し訴えの提起がなされていること」や「相続又は遺贈に関し和解、調停又は審判の申立てがされていること」等が列挙されていますので、ただ遺産分割協議を先延ばししている状況では承認を受けることは難しいのではないかと思われます。

 

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