2019.06.11

平成29事務年度分の相続税及び贈与税の税務調査状況(福岡国税局管内)

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相続税

相続税の税務調査

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毎年12月にその年の前年の相続税の申告状況や相続税の税務調査の状況に関する報道発表がHPで公開されますが、今回は相続税と贈与税の税務調査状況をまとめてみました。

対象は、相続税は主に平成27年に発生した相続が中心で、贈与税も平成27年の申告が中心と思われ、いずれも福岡国税局管内になります。

①相続税の税務調査の実地件数と非違件数

申告件数と調査件数の比較は直接は公表の対象になっておりませんが、平成27年の相続税の課税対象となった被相続人の数は3,540人と公表されており、一方で実地調査の件数は461件とされておりますので、およそ申告件数8件に対し、税務調査は1件されている計算となります。

法人の調査率はおよそ3%と言われておりますので、相続税の税務調査率は非常に高いと言えます。

しかも、461件の調査件数のうち、申告漏れ等の非違が見受けられる件数は398件(86.3%)ですので、税務調査が入ると非常な高率で非違が指摘されている現状です。

②申告漏れ財産種類の内訳

申告漏れ財産は、非違額が大きい順に現預金(申告漏れ財産総額のうち、38.3%を占めます)、不動産と続きます。

相続税の税務調査は現預金の調査に集中されますが、非違項目でもやはり現預金の申告漏れが最多となっております。

③簡易な接触による税務調査

相続税の基礎控除の見直しにより相続税の申告件数は大きく増加しましたが、相続税の税務調査官の人数はあまり変わっていないようです。一方で、相続税の税務調査を行う実施率は基礎控除改正前と変えないよう指導されているとの話も聞きました。

従いまして、非違が疑われて、かつ、論点が明確な税務調査に関しては、あえて納税者の自宅で臨場調査を行わず、税理士と書面や電話でやり取りを行う簡易な税務調査を行うケースが増えている状況となっております。

簡易な接触による税務調査では、非違が指摘されている比率は約30%超とされておりますので、臨場調査よりも低い比率となっております。

④贈与税の税務調査

税務調査を行った事務年度と課税年(暦年)の申告件数との比較になりますので、正確な税務調査比率は算定できませんが、18,000件~19,000件ほどの申告件数に対し税務調査件数は150件~160件ほどと想定されますので、贈与税の税務調査の比率は非常に低くなっております。

一方で、平成29事務年度は実地調査件数160件に対し、非違件数は160件と100%となっており、贈与税に関しては、税務調査が行われるとすでに非違項目を把握した上で税務調査に臨場していると考えて間違いありません。

また、申告漏れ等の対象になっている財産は現預金が80%超と突出していることも贈与税の税務調査の特徴です。

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